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心臓震盪、みなさん初めて耳にする方が多いかと思います。
脳震盪をイメージして見てください。脳震盪はほとんどの方がご存知だと思いますが、打撃によって脳が揺れて機能障害を起こす事です、胸に衝撃を受けて心臓が震え、機能障害を起こす、それが心臓震盪です。ただ大きな違いがあります。脳震盪はほとんど気絶ですみますが、心臓震盪はほうって置けば死に至ります。また、この心臓震盪は胸の骨がまだやわらかい子どもにおこりやすいということです。
つまり心臓震盪というのは、健康で何も病気のない子どもの胸になにかが当たった衝撃で心臓が細かく震え死に至るということなのです。
 私の息子は、4年前2000年の4月に野球の練習中に亡くなりました、13歳でした。
その日、「ボールが当たって病院に運ばれた」と妻から電話があったとき、まず考えたのは、頭に当たったのではないか、ということでした、それ以外なら、まず大丈夫だろうと思っていました。
小学校3年から野球をはじめた息子は高校野球をめざし中学からは新宿シニアリーグという硬式野球のチームにはいり、家でもチームでも練習に明け暮れていました。
そんなまじめで前向きな健康だった息子が、練習中のたった一球のノックによりこの世を去りました。
強烈な打球を胸に受けた事は周りにいたチームメイトやコーチが皆見ていました。サードを守っていた息子はグローブで取り損ねた打球を胸に当て、下に落ちたボールを拾いファーストへ投げようとして「うっ!」とうめいて倒れこみました、あるコーチが人工呼吸と心臓マッサージをしてくれましたが、数分後にきた救急隊員の報告では心停止状態で呼吸もなく瞳孔も開いていたそうです。
その後、警察により司法解剖が行われました。当時心臓震盪の事などまったく知らなかった私は、胸に当たったボールでなぜ息子が死ななければならないのか、それがどうしても理解できず、司法解剖というものが絶対に正しい理由を教えてくれると信じていました。
検死を終えた息子を警察で迎えたとき、警察の方に呼ばれ説明をうけました。
そのとき言われた言葉はあまりにも意外で今でもはっきりと覚えています。それは「検死の結果は急性心機能不全ということで、警察としてはボールが当たったのと心臓発作がたまたま偶然に同時に起きたと判断します」というものでした。
今思えば、どうしてそのとき抗議しなかったのだろうと思います。がその時の私はいわゆるパニック状態で、「早く息子を家につれて帰ってやらなくては、」と、まるでそうすれば元に戻るような気がして、抗議などする余裕はありませんでした。
葬儀を終えて少し冷静になった私は死亡診断書の死因が病死になっているのを見て、はじめて「何かおかしい」と思い始めました、警察に電話すると、検死をした先生に聞いてくださいといわれ、その監察医には「ボールが当たった事と死亡との因果関係が立証できないから」といわれ、そのときボールが当たらなくても息子は死んだのですか?と聞くと「その可能性もあります」と言われました。立証できなければ病死なんでしょうか、どんな可能性でしょう、確かにボールは当たっているのです。検死の写真にも胸に赤い打撲のあとがあるのです。いくらなにもしらない私でもとても納得できる説明ではありませんでした。その時から私の戦いは始まりました。
その後の事については今は省きますが、やはりその後同じように息子さんを亡くされたお母様も死因についてのトラブルで苦しんでいらっしゃいます。
知らない人があまりにも多いために二重の苦しみをしなければならない。それが、心臓震盪に関する現在の実情だと言う事を知っておいていただきたいと思います。
 それでは、これからどうしたら子供たちを悲しい事故から救えるか。この事が私たちに課せられた、一番大切なことなのです。これからその事についてお話したいと思います。
皆さん、この図をみてください。これはアメリカで2001年9月までに集められた
心臓震盪の128例のデータです。
胸部打撃の原因、つまり何によって引き起こされたかを分類したものです。
表1
 ご覧になってお分かりのように野球ボールとソフトボールで半数を超えています。私が知りえた日本での心臓震盪と思われる事例も全て野球のボールが原因でした。
ある野球関係の方にこの事をお話したところ、この事が広まったら野球をさせる親がいなくなるのでは、と心配していました。 はたしてそうでしょうか? 私も野球は大好きです。
よく、くさい物に蓋をするような事が多いのが日本人のわるいところだといわれます。
アメリカでは事故を隠さず報告してデータを集め公表していますが、野球をする子供が減ったなどということは聞いた事がありません。むしろ、この事を踏まえて除細動器の普及を進め、スポーツ用具の改良をすることにより、安全に野球ができるようになったと歓迎されているはずです。
つまり隠すのではなく、安全にスポーツできる環境作りをすすめているのです、この事が大リーグなど、アメリカのスポーツの隆盛をささえているのではないでしょうか、
 私が小学校の野球チームのコーチをしている時、よそのチームで時々こんなコーチを見かけました。
小学生に向かって力任せにノックをするコーチ、「取れなかったら、体でとめろ!」と、大声で怒鳴りつけるコーチ、みなさん、もし、このような指導者を見かけたら、心臓震盪の現実を教えてあげてください。
少年スポーツの指導者はほとんどがボランティアです。だからこそ心臓震盪の知識をもって、安全を最優先にしてもらいたいと思います。
 そして 一番大切なこと、それは不幸にも事故がおきて目の前で倒れている子供をすくうことです。もし、皆さんの目の前で倒れた子供がいたら、頭に何か当たったのか、と思ったり、気絶しているだけだと思ったりしないでください。心臓が止まったかもしれないと、まず、考えてください。最悪のシナリオを思い浮かべる事が救命の第一歩だとおもいます。
現在、わが国では除細動器の使用は医師と訓練を受けた救急救命士、そして航空機の客室乗務員にかぎられています。そして救急車が指令を受けてから現場へ到着するまでの平均時間が約6分といわれています。これに対し、心臓震盪が起きた場合約3分以内に除細動をしなければ救命できないといわれています。
では、どうしたらいいのか 事故の起きた現場に除細動器があることが一番なのです、では誰がそれを使うのか、医師や、救急救命士が到着するのを待っていたのでは何の意味もありません。近くにいる人が使えるのが一番なのです、さいわい今の除細動器は誰でも使えるようなものに改良されています。また、日本でも講習を受ければ一般の人でも使えるようになりそうです。少し乱暴な言い方かもしれませんが、たとえ講習を受けていなくても、もしそのような状況に直面したら使って欲しいと思います。機械の指示どおりにすれば、大人でなくとも使える機械です。早ければ早いほど助かる可能性が増えるんです。そのためにも是非一度、その機械を見ておいてください。知っておいてください。お願いします
 最後に、今年の初めに戸田中央総合病院の輿水先生を代表幹事として、「心臓震盪から子供を救う会」を立ち上げました。この会の目的は国内での心臓震盪のデータの集積を行い、その概念と発生の理由を世間に知ってもらうことと、その予防と救命手段の知識を普及することです。もちろん私の夢である、除細動器のスポーツ現場や学校への普及。これも大きな目標です。
 まだできたばかりの会です、これから地道に活動していきたいと思っています。どうか一人でも多くの子供を不幸な事故から救う為に、是非、皆さんのご理解とご協力をお願いしたいと思います。
また、事故に関する情報や、活動についてのご意見などもお知らせいただければ、助かりますので、お渡ししたリーフレットに書いてある連絡先にご連絡ください。宜しくお願い致します。
みなさん、スポーツに打ち込んでいる子どもたちはとっても素敵です、私はそんな子どもたちが大好きです。その子どもたちを悲しい事故から救ってあげてください。お願いします。